とんかつ弁当の謎・問題編

 昼を少し過ぎたくらいに、僕はこのくそ寒い中、近所の大型電気店にゲームを買いに向かっていた。寒いなかであるというのに、自転車以外に足が無いので、少し厚着をして自転車にまたがった。自転車をこぐと、寒風が服の中に染み入って、体温を奪っていった。
 田んぼを横切り、病院の前を通ったところで大きな道路に突き当たる。ここには横断歩道が無く、地下道をくぐっていくしか向こうにわたる方法が無い。そのため、僕は渋々自転車を降り、地下道の階段を下りようとした。
「なんだこれ?」
 地下道の入り口に僕は違和感のあるモノを発見した。地下道の入り口の右側は台のようになっている箇所があって、丁度物を置けるようになっていた。そこにそれはあった。
「弁当?」
 そう。それは弁当のようだった。しかも、とんかつ弁当。しかし、それはコンビニで買ったものとは思えなかった。コンビニ弁当であるならば、ビニールのパッケージに包まれているはずであったが、その弁当は輪ゴムでとめられていて、その輪ゴムと弁当の間に箸が挟まれていた。
「誰かが捨てていったのだろう」
 そう考えて、その場は無視することにした。それよりかはゲームを買うほうを優先したのだ。

 ゲームを買い終え、しばらくゲームセンターや本屋に行き時間をつぶした。4〜5時間後だろうか、また僕はそのとんかつ弁当のある場所を通りかかった。
「・・・まだある」
 とんかつ弁当はまだその場所にあった。誰も関心を抱かなかったらしく、それはゴミ箱に捨てられることも無かった。
 ふと初めに気がつかなかったことに僕は気がついた。この弁当がここにあることはおかしいということを。
 よく考えれば、この弁当を売っているような店がその周辺に見当たらないのだ。コンビニならば、5分ほど歩けばある。が、そのコンビニは地下道を通って向こう側にあるのだ。
 では、弁当屋からわざわざここに持ってきた?いや、それもおかしい。どこにあるのかしらないがどこかの弁当屋でとんかつ弁当を購入し、わざわざそれをこの地下道まで持ってきて、ここに置く意味が無い。もし、弁当が必要なかったのであれば、こんな場所まで持ってくる必要は無く、弁当屋の近くに捨ててくればいいのだ。
 そうであるならば、とある考えが浮かんで僕は道路の向こう側にある建物を見上げた。そこは県庁であった。県庁の職員が毎日弁当を売りに来る弁当屋からとんかつ弁当を購入。それをここに捨てたというのはどうだろうか。いや、それもおかしい。先ほど考えたように、道路の向こう側からわざわざこちら側に渡ってから弁当を捨てる理由というものが無いのだ。そもそも、県庁の職員がこちら側に渡ってくることはあまりないのではないだろうか。こちら側あるのは病院だけで、食事ができるような店などなく、病院以外は目ぼしい建物が無く、あたり一面田んぼなのである。
「・・・気味が悪いなぁ」
 僕はなんだかその弁当に触れることを躊躇い、それを放って家に帰ることにしてしまった。弁当はまだあの場所にある。箸が添えられ、まるでだれかに食べてくださいと言わんばかりに・・・。




これは事実に基づいて書いています。解決編は思いついたら書きます。果たして解決するのかw
読者への挑戦とか、この出来じゃ挟めません。